「さむいかって? わたしはけっして!」
とでも訳することのできる標題のフランス語の発話文は、主語・動詞という統辞的な「文」をうらぎる形式をそなえており、現実の伝達においてはむしろ主題構造のほうが重要であることをいきいきとしめしている発話文であるがゆえに、言語学者のお気にいりだ。
しかし、もとをただせば、防寒下着をうりだしているダマール Damart の宣伝文句だ。
その、いきいきとした発話文のおおもとであるダマールからのダイレクトメールが、きょう、初めて、わたしのところにも送られてきてしまった。
これはたいへんなショックである。ようするに、らくだのシャツや、ももひきを着ると判断されるとしごろにさしかかったということではないかと (もちろん、「ウォームビズ」を商機とみなしたという推測もなりたつが、こんなところでつとめて楽観しようとするのも見ぐるしかろう)。
じっさい、けさなどはたいへん寒く感じた。以前はいまよりずっとやせていたにもかかわらず、ひと冬ぢゅう、さむいともおもわなかったものだが、いまのように肥って、肉布団を着こんでいてもなお、しみこむように寒いのだ。冬眠でもしたくなる。
しかし、天気はよかったので、おもいきって自転車通勤した。
文学部のうらの急坂をのぼりきると、ようやくからだがあたたかくなった。
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